夜過(よか)

最終電車で家へ帰った

駅から歩いて数歩で

スナックが立ち並んでいて

全世界共通みたいな

おじさんの歌声が聞こえる

その扉の向こうに行くつもりは

いまのところないけれど

立ち止まって眺めてはみる

きっと煙草の煙が空気を映してくれているけど

人の煙草の煙は吸いたくない

新鮮な空気のなかで

煙草を吸うのがいいわけ

カラオケの音に背中を押されながら

ゆっくりと家へ歩く

夜が過ぎた時間の

なんと有意義なこと

引き返す電車も目的もない

遠回りしてコンビニに寄ることもできたりする