森のなかで、海のおとがした
海のおと、というのは
波のおとで
水がうごくおとで
それと同時に、風をきいた。
涙を振り切りながら
走り去っていく少女のような
せつないきらめきを感じた
ぼくは靴ひもを固く結びなおし
ザックを背負った
太陽は高くなりつつある
あしたには雨は降るだろうか
降らないかもしれない
もしも、雨が降ったら
雨を味方にしよう
海のおとが、森のなかで
大きく、力強くなっていく
しぜんに逆らわず
風を頼りに歩いていけばいいのだ
自らをそばに置きながら