月別アーカイブ: 2016年2月

雨のにおい

午後三時
目を閉じた
眠るために
眠ってまた
起きるために
ほどなくして起きた
起きたけれど
眠るまえとの違いを
正確には把握できない
ソファのうえで寝転んでいる
白くみえる壁
行き場をなくした飴
頭上を
ことばたちが
辛辣に飛び交う
それに触れて
眠りから覚めたような
また眠りたいような
気持ちになって
また眠ろうとしたとき
突然雨が降り出した
固く音をたてて
わたしの少しうえの屋根に
転げている
そして
音もなく消えていく
洗濯物は乾かないだろう
小学生は帰るだろう
鳥は隠れるだろう
雨のにおいがするだろう