月別アーカイブ: 2014年4月

街へ

ぼくが電車に乗ってから
それは田舎の単線の電車で
景色のほとんどが田畑で
建物は住宅ばかり
空は当然のように青く
電車の揺れがひどいせいか
景色が浮き上がったり
沈んだりしている

女子高生は
大きな握り飯をふたつ食べたあと
耳のついたサンドイッチを食べ始める
新入生の高校球児は
帽子をかぶったままだし
お洒落をした少女は
前髪を気にしている
隣に座る外国人と
同じ格好で足を組んでいるぼくは
いつの日か乗った電車の景色を
今と重ねている

いったいぼくは誰なのか
いったいわたしは誰なのか
街に近づくにつれて
自分が見えなくなっていく