8月。
何故わたしのまえに幸福を呼ぶのか
この空しいほどに無機質な生活感のなかで
昼間。
あっという間に正しくなる
正しいことの線引きを必死に行う
(例えば、ここからが黄色で、あそこからが赤という具合に)
8月。
圧倒的な日射しのなかで人は
見知らぬ土地で退屈の本をたたんでいる
夕方。
言葉などほとんど意味のもたない抜け殻
善悪が同じ顔をちらつかせ瞬きのあいだに消えていく
8月。
まだ、というニュアンスが適当に響いていく
選択する準備はもう選択してしまった
夜。
まだ自分の名前を知らないまま
意味から逃げた8月を知らないまま
そのままどこか遠くへ
転がっていく8月のばらばら。