通過中

サイドミラーには
現実の欠片が
うつってはこぼれていく

カーブミラーには
あの人の影が
湾曲して入り込む

天井の白には
眠りと覚醒が
渦を巻いている

薄紅色した空には
見知らぬ人の声が
吸い寄せられて消えていく

それぞれのもとで
脱ぎ捨てて空回り
待ちぼうけて絡みつく

やあやあ
おはよう、おやすみなさい。