飛行機雲

この場所から空への隔たりはどれくらいあって、どのあたりにあるのだろうか。空を行く飛行機雲の視点からは見えるのか。
芝生で寝転ぶ子供は地球のどのあたりを感じているのだろうか。思春期という道すがらで意識と希望が音をたてて弾けるのか。そして、意味のない苛立を抱え、抑揚のない目を向けるのだろうか。ある人は隔たりを感じずに眠りにつくのかもしれない。ある人は生まれながらにして感じるのかもしれない。内に秘めた事柄であるから、それらの瞬間は知られることはない。

いつか、あらゆることが意味をなして、自らに意味を与えてくれる。
タイミングは計れないし、掴むこともできない。突如として現れ、音もなく消える。

空を仰ぎ、息を吐き、目を閉じる。
一筋の飛行機雲が瞬きもせずに伸びていく、その瞬間を見極めるのに、僕は地上から必死に手を振っているのだ。