深いブルーと淡いオレンジの季節

夕暮れが深いブルーと淡いオレンジが混ざり合う季節に生まれた。
少しだけ小さく、少しだけ遅く、少しだけ弱かった。
指だけはすらりと長くて、髪の毛は艶やかだった。

生まれて一週間ほどで、大勢の声に囲まれた。
それがわたしにとって初めての出逢いであり、様々な愛のひとつひとつであり、家族という温もりだった。

夕暮れの深いブルーが好きなように、星降る夜が好きだ。
無数に散りばめられた光の粒を手ですくい、全身へ届けたあと、その粒をわたしの指で結ぶのだ。
その線で自由を描く。
限りのない想像の扉を開かせる。

好きなものはまだ沢山あるけれど、大切な人にしか打ち明けない。
でも、嘘はつかない。
小さな嘘が、わたし自身の自由の妨げになるし、それがまわりの人たちへの壁に変わっていくこともある。
わたしの仕合わせは、これから形作られていく。
目に見えるものも、目に見えないものも。

しなやかな手をつかって、ゆるやかな弧を描く。力強い角を描く。
わたしの瞳は、夕暮れの深いブルーと淡いオレンジを映している。
この物語は、その色からはじまったのだ。