対話

ときどき、耐えきれなくなるの。

何に対して。

対象なんてない。目に見えるもの、感じたものすべて。

怒り。

怒りかなしみ憎しみ疲れ、混乱苛立恐怖冷酷。
あらゆる負に触れて、やがて破裂する。

風船みたいに。

そんなカラフルじゃないし、色なんてない。
こつこつと重なっていくの。
限界がすぐそこまでってときに、気がついて。
そのときにはもう手遅れ。破裂。

破裂してどうなるの。

なにもない。元通り。

問題ないってこと。

いや、色彩を失うわけ。
無に着地して、積み重なることもなく、ただ下に落ちていくの。
あらゆるものの、置き場が消滅する。

食事はどうするの。

食事は快適になる。
食べることは生きることだけど、仲介役でもあるから。

睡眠はどうするの。

そこはもう自由。
時間に合わせて、気分に合わせて。

回復するということ。

まるきりすべて同じ、なんてことはない。
繰り返しに麻痺していくし、やがて気がつくの。
黒が本当は白かもしれないって。
天気予報は予報でしかないって。

でもまた耐えきれなくなる。

うんざりするほどね。
でも種類がまた異なる。それが厄介で、不思議。

麻痺していく。

あるいは意識から除外される。

それで今は。

今はどうだろう。突然膨れ上がるから。

あしたは。

あしたは、だれも知らないから。
だれひとりとして、あしたを経験していないから。

今が白だとしたら。

たぶん白なんだろうな。

黒でしたと言われても。

驚きはしない。たぶん黒なんだろうな。

ありがとう。

どういたしまして。