月別アーカイブ: 2018年8月

池のほとり

円のなかに
いたはずだった
きみはいつしか
ひとり歩き出して
公園を横切り
信号を守り
鳥たちに目配せをして
池のほとりのベンチで
本を読んでいた
言葉が物語を教えてくれるような
あたたかな小説を
記録的な猛暑に
記憶すら飛ばされながら
いつのまにかうたた寝し
汗をぬぐって
唄いきった
在り来たりで
孤独な温度の
恋するような
日々のこと
夢でも現でもなく
目を閉じれば
きっと明日だ
きみはまた
ひとり歩き出して
池のほとりのベンチで
本を読んでいる
元気のかけらみたいな
はつらつとしたエッセイを
鳥たちは笑った