眠る前

眠る前
なみだが一筋流れた
大袈裟な欠伸からなのか
ゆるやかな気候のせいなのか
最終電車の音に合わせて
感情とすれ違うようにして
うっすらと枕が濡れた
眠る前
大概のことに感じやすくなり
大概のことを感じにくくなる
それは睡眠とともに
深くまで連れて行かれる
海深くなのか
空高くなのか
あるいは
名前すら知らない遠いところなのか
知る由もない
そして、眠って
朝になるだけ
そこには夢にかじられた現実が
鉛のように置かれているだけ
と想像する