深夜の思考 耳が遠ざかる深夜に ものをひとつ考える それはじぶんとは直接 関係のないことであり じぶんしかわかり得ないことである 全身の毛を眠らせて 呼吸だけで思考する 梟だけが見つめる深夜に 目を見開くようにして 静かに目を閉じていく 失われたものの先に 似たようなものが落ちているから また夜は深まり いっそ夜は明けようとする 耳が遠ざかる深夜に 月の動く音がした