溢れる涙をとめられなくて

空を見上げたら

雲が流れていた

今日はじめて見た雲は

ほんのりと色づいていて

やわらかそうに見えた

なめたらどんな

味がするのだろう

触れたら壊れて

しまうのかな

巨大な環状線を行く

細々とした粒が

ぼくの顔面をかすめて

涙のあとを追うように

纏わりつく

ぼくの涙はきっと

時間差だ

だれかのいつかの

涙の。

あした海が見えたら

間違いなく

ぼくは。

クラクションの音さえ

異なって聞こえる。