滑稽で美しい午後

バス停で
夜風に吹かれながら
群青色の空へ向かって
口を大きくひらいた
一粒の酸が舌にのった

解けたブーツの紐を
踏んで転ばせて
そうしてしゃがみこんだ
ちっぽけな世間体を
蹴り飛ばした

五百円玉を
握りつぶすみたいに
しゃぼん玉を
投げ飛ばすみたいに
かなしんだり
よろこんだり
している

桜の花びらに
埋もれていく
夢のなかで
ぼくは涙しながら
眠った
滑稽で美しい午後だった。