なにごと

もはやこれは
ただごとではない
たしかな感覚がある
いま、目の前のかばんが倒れ
コートが風に吹かれているように揺れて
スリッパがぱたぱたと歩きだしている
あまりの力に
そして自らの底に
再び内蔵が震えるのがわかる
からだはへこみ
また膨らみ
ついに
窓から飛び出した
とても冷たい風が吹いている
とてもあたたかな血が流れている
不思議と笑みが溢れた
目はなにも捉えることができなくなっていた
頭が割れそうだ
という感覚がみつかった
それだけがみつかった