囁く

失速する
イラダチ
わたしにはいま
トモダチ
がいない
コイビト
とともに去ったから
空想の人物を
ゲンジツ
にあてはめる愚かさによって
しかしいま
それは存在するものになった
答えようのない
トイカケ
きみはもういない
頬をながれる一瞬の
ナミダ
にのって消えていったので
シラナイ
この部屋の時間軸は
固められた
コンクリ
不純物は灰色と同化した
タノシイコト
それは目に見えないから
クルシイコト
とよく似ている
わたしって
どのあたりで呼吸しているのかしら
意識はどこから
理性は知性は
指先から
あたまの渦のあたりから
触れられない背中から
ワタシ
が生えている
ごうごうと音をたてて
きょうも空が
巨大なことと
囁いているように
ワタシタチ
も囁く
止まない雨のように