知らない

白のスニーカーを履く

積み上げられたフリーペーパーを取る

幾つか取る

美女が表紙にいる雑誌を買う

特に意味もない

大人になったと思いたかっただけだ

夜の蕎麦屋の暖簾があがる

酒屋の犬が目を閉じる

駅員さんはふたりだけ

知っているようで

なにも知らない

小さな街を

僕はやはり好いてるようで

でも

これ以上は知るべきではないと

臆病になるのは

自分自身でしか歩いていないからなのだと

あの鳥は呟くのだった