マルクトから

壁に頭が食い込みそうだ
一体となって食い込みそうな
縦と横から横と縦から
指紋が消える
右手の人差し指みたいな
指紋が消えるそうな
上からも下からも
石畳を歩く
そこにわたしは帰ってきた
飛んだアルコール
凍える炎の揺らめき
簡易なスケートリンク
安易な音楽はない
詐欺まがいの温もり
耳が取れてしまいそうだ
ほろほろと取れてしまいそうな
手動のドアを開けて
しばしの時間
箱に揺られる