蒼く

彼女の背筋は
しゃん、と伸びていて
そのせいなのか
視線の先が人より少し遠い

彼女はよく物にぶつかる
電柱やドアや壁や木に
ぶつかっても尚
しゃん、とした状態を保つ
それがルールであるかのように

ぼくの瞳は
まだ蒼く見えるのだろうか

彼女はぼくに
現実的な言葉をわけてくれる
ぼくは彼女に
感覚的な言葉をわける

雨のせいだろうか
あのときの黒く蒼い空が
どこにも見あたらない

ぼくの瞳は
まだ蒼くいられるだろうか

蒼く蒼く
美しいと云われて
ただただ眠りたい