暗闇のなかで
眠ったはずなのに
薄明かりのなかで
僕は目覚めた。
海岸沿いを走る車が
知り合いの車の音と酷似していたから
目覚めたのだと思ったけれど
ここは山の中で
ましてや知り合いなんて
溢れるほどいながら
だれの顔も思い浮かばない状況。
床に倒れている
ベージュの靴下を履いて
真っ黒のサンダルで
外に出る
星に撃たれてしまうほど
真夜中だった。
僕の目は
暗闇を捉えている。
それから明け方まで
海岸沿いを車で走る夢をみた
ほくろの数も
ろくに知らない人を
隣に乗せて。
暗闇が明ける
まるで
世界は透明みたいだった。