小宇宙

このへやには
小さな宇宙がある
ぼくがそれを小宇宙と
名付けようと決めたとき
夕暮れが染渡ってきた

ぼくは本をたたんで
その宇宙のなかの
不可思議な独りぼっちと
向き合ってみた

夕暮れの空は
あの海岸の人々の浮かべた
黄昏という名に似ている

このへやの宇宙に
ぼくは漂いきれているのか
目を閉じてみるが
子供の笑い声に
我に帰って
はっとする

宇宙の孤独と
夕暮れの空の隙間に
このへやはあった