小宇宙 このへやには 小さな宇宙がある ぼくがそれを小宇宙と 名付けようと決めたとき 夕暮れが染渡ってきた ぼくは本をたたんで その宇宙のなかの 不可思議な独りぼっちと 向き合ってみた 夕暮れの空は あの海岸の人々の浮かべた 黄昏という名に似ている このへやの宇宙に ぼくは漂いきれているのか 目を閉じてみるが 子供の笑い声に 我に帰って はっとする 宇宙の孤独と 夕暮れの空の隙間に このへやはあった