しんぼう

こんにちは。
あなた。

ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られ
大都会はまた心慌ただしくいる。

巨大が善なのか。
わたしのからだは今紙きれでできている。

石油ストーブの音だけが
わたしの部屋に響き渡り
いつまでも目蓋が何重にもかさなり重い。

おはよう。
あなた。

朝目覚めたら
薬缶の音を聞いて
朝をからだに染みこませたい。

庭の葉っぱを掃いて
家の埃をはらってふいて
いくつもの布を洗い
たいようを浴びながら
ごはんをたべたい。

こんばんは。
わたし。

もうすこしだけ
あとすこしだけ。

遠くの山は雪がよく降っている。