雨のにおい

午後三時
目を閉じた
眠るために
眠ってまた
起きるために
ほどなくして起きた
起きたけれど
眠るまえとの違いを
正確には把握できない
ソファのうえで寝転んでいる
白くみえる壁
行き場をなくした飴
頭上を
ことばたちが
辛辣に飛び交う
それに触れて
眠りから覚めたような
また眠りたいような
気持ちになって
また眠ろうとしたとき
突然雨が降り出した
固く音をたてて
わたしの少しうえの屋根に
転げている
そして
音もなく消えていく
洗濯物は乾かないだろう
小学生は帰るだろう
鳥は隠れるだろう
雨のにおいがするだろう