疑心暗鬼

部屋のとある一部分に
積まれている本に
ひょいと腰掛けて
ぼくはなにかを
成し遂げた気持ちになった
それは希望に近い衝動で
なんとなくの可能性と
重ねているようだった
本には言葉がのっているから
その上にのれば
ぼくはきっと
なにかしらの意味の上にのることになる
そんな気がした
たとえばそれが
積み上げられたバウムクーヘンでも
ぼくは似たような感情を抱くかもしれない
が、そうでないかもしれない
バウムクーヘンは食べ物だと
妙に冷静になるかもしれない
が、そうでないかもしれない
これは木の年輪だから
考えないことを考えて
膨らみすぎた頭に少し隙間がうまれ
ぼくはまた
とある本に腰掛けようとする