色のない息

果てなく続く紫に似ている
夜が白んでくる感じにも似ている
その香りと感覚を鼻の奥のほうで
感じたときから
僕は香りの行方を追った
おそらく
ドバイ行きの飛行機で感じたそれで
きっと全く異なるものなのだろうけれど
僕はあの飛行機の機内にいて
真っ白な空気を吐き出す光景を感じ
異国の巨大な空港で立ち尽くしていた
右頬をかすめる左手に
ひとり残されつつも
何故かこの疑問の先は
自然界の類似と
あんぱんだったから
僕はわずかに口をゆがめた
煙草の先でもなく
響く床や髭でもないのだ
そして
壁にもたれて
平衡感覚を取り戻すことに努めたが
結局寝床まで持ち帰えることとなった
六個のうちの二個目のチーズを食べて
あんぱんとは一体
果てなく続く紫は何処に
という疑問が浮かんだが結局
考えることはやめにした
やがて訪れる
なにもない思考に任せて
香りの行方を宙に放つように
少しづつ繋げていくように
色のない息を吐く