月別アーカイブ: 2013年8月

ポエム

あるときしょうねんは

ことばのことをポエムとよんだ

たとえとしてではなく

てをふり

さけんで

よんだのだった

ことばはけっしてふりむいてくれなかった

しょうねんはかなしみともちがうふしぎなかおして

いえへとかえっていった

そのひしょうねんはよなかまでなやんだ

ぼくがおおきなこえをだしたから

おどろいてしまったのではないか

もうぼくのまえにきてくれないのではないかと

ときおりなみだをうかべなやんだ

でもしょうねんはなみだをながすことはしなかった

めのなかになみだをためるだけにとどめたのだ

そしてあくるひ

いつもよりねぶそくなまま

しょうねんはさんぽにでかけた

てをふり

さけんで

よぶのではなく

ことばがぼくのまえに

そっとあらわれるときをたしかめるために

いつもよりおおきなほちょうであるいた

ためこんだなみだを

あさひにむかってながすためにあるいた

だけどことばは

あさひになんていなかった

しょうねんはあさひをせにして

いえへとかえりながら

しょうねんはいまではない

じぶんじしんにむかって

ゆっくりときこえないことばをつぶやいたのだった