日常連立、その世界

形あるものカマンベール
白カビに満ちたホワホワ
鼻皺の微笑みと太もも
なにかの周波数のようなキンキン
もう手に入らないワイン
酔っぱらった食後に
バウムクーヘンの層の数々
鎌倉の記憶は夏の夕暮れ
追憶の東京タワーは
とても偉大で雄大で
タクシーの老女に敬愛す
路上駐車は大きく長く
クラクションはそれほど気にならない
気持ちの温度は明かりの速度
山の風より海の匂い
クレープに飽き飽きした
女の食べるガレット横顔
好いか悪いかアップルティー
置き場に困る思い出連鎖
一重まぶたの重複
おいしいとおいしそうの対立関係
たいそう便利な色恋事情
きびきびと綺麗であれマンマ
雨が降ったらフードをかぶれ
自分のまえに隣を見よ
どこかに行くな此処にいろ
並び始めた単行本に走り書きメモ
想像より現実は一二歩前へ
着いたらそこで終わりは無
孤独が脳を行ったり来たり
楽しいが正しいとは知らず
かわいいは感情の一端
外へ出れば旅が見つかる
きっといつかはぐるぐるパスタ
大事な日の夜更かし真っ直中
半狂乱の夢に映った星々
チュリトスの幻影ぼそぼそ
寒いことが心地いい夜中
それは真夜中
すこぶる陽気な日常連鎖