雨音

言葉は目には見えないけれど
言葉は過去を投影する
夜の雨音に変わりはないけれど
その時々のぼくの気持ちは変化する

感じることは言葉よりも音に似ていて
この規則的に降り続く雨のように
この永遠のような雨のように
音となって全身を浸す

頭の隅で開いた本の片隅に
過去が綴った言葉の形が確かに在り
雨音のせいか寂しく感じる夜
音の広がりに戻され包まれた記憶

それは言葉では捉えきれない
時間の忘却によるものだと
聴こえたような
聴こえないような雨音の数々