ひと月

月の形は定かではない
あの日君が僕の肩で泣いた夜
僕はしあわせを抱いた

海の入り口はない
あの日君が僕の嘘で泣いた夜
僕はしあわせを諦めた

消えた月になにを願って
現れた月になにを想う

君が僕の孤独であるならば
僕は君の孤独にすらなれない

通り過ぎる電車
停車する四輪車
明日の青空
もしくは昨日の夕闇

月の形は定かではない
あの日僕が君の本当で泣いた夜
君は君のしあわせを抱いた

それは
鮮烈な過去の逸話
誰も死なない昔話