夜、 本を開いて 文字を追って 次第に追われて 薬缶が息を吐き 夜がまた深まる頃 ねこが砂利を蹴る音がする ぎゃあぎゃあと騒ぎ それは二つに増え 追いかけ合い バケツが転がり響く 僕も外へ出て三つ巴 騒がないし 追われないが 今日一日何かひとつでも と思いながら 自分の影を追いながら