月別アーカイブ: 2018年7月

帰宅後

ゆっくり歩いて帰ったつもりだったのに
家につくと少し息があがっていた

思い出す思い出は
いつも一定の量で
いつも一定の温度だけど

都会にいるとそれが
偽物か本物か見分けがつかなくなる

窓から見えるのは屋根ばかり
聞こえる音は人工的

暑さをしのぐ風も
寒さをしのぐ熱も

言葉も欲望も
愛も孤独も

すべて目の前でつくられていく

昨夜の焼き鳥屋が
唯一救いのような気がする

煙と汗と
それから喧噪

日々の変化を見逃すべきではない
たとえそれが
同じ太陽に見えたとしても

窓の向こうから
明日がやってくる

夜風が
さらさらと音をたてて
顔を撫でていく

常に生まれ変わる毎日に
息切れしている時間はない

感慨深く
過ちを甘噛みする