はじまりの唄

僕らの紡いでいる言葉は
僕らが考えている言葉とは異なっている
それはまるで僕らが生まれてくるずっと前から存在し
忘れ去られていったものたちと類似している
それはつまり似ているだけで異なるものたち
誕生日がおなじ星座がおなじ
血液型が話し方が考え方が趣味が生まれた場所が
すべてがおなじでも僕らは何もおなじではない
名前でさえも記号化する
きっとたしかたぶんおそらく
僕らは今の答えを知りたがっている
まだ見たことのない疑問の前に
まだ知ることのない夢の前に
握りしめた掌を広げた先に
愛があってもなくても
僕らは言葉を紡いで忘れ
忘れてまた紡いで
夜に眠って朝に目覚めて
僕らは今此処から
はじまりの唄をうたう。