町から町へ 町を歩いた 商店街を抜け 路地裏を進んだ 坂を上ったり下ったりして 公園を横切り 自転車とすれ違い 子どもたちの他愛もない声と いくつかの鳥の声をきいた おばあさんに軽く会釈をし 郵便配達のバイクを避けた 風がわずかに強くなり 街路樹が揺れていた もうすぐ雨が降るだろう 踏切の音がする 隣町の駅は近い 働く人々を横目に 町を歩く 知っている人はひとりもいない 此処は 通過点でしか 快速電車が過ぎ去っていった