呟きにも似た呼吸を
繰り返しているうちに
満月がそっと口を閉ざした
なにごともなかったかのように
人々は人々として漂っている
大通りから
ひとつ道を曲がれば
そこには上下左右につながっていく
緑緑した空気があり
ほどなく安堵
この空の上に
重く厚く広がっていく
灰色の気体が
いつか雨を降らしたとしても
わたしたちは泣かないだろう
じぶんのベッドの広さを再確認して
またあしたと呟いてみれば
夜に寄り添えるだろうか
とふと思う
泥まみれになって
転げることも必要だって
いまなら云える
とふと考える
だからといって
わたしたちは泣かないだろう
先行する幸福を押しとどめることができずに
天井から差し込む陽に
救われた気がした