見知らぬ広野で

見知らぬ広野で
ひとり立ちすくんでいた

でもそこは
単にわたしが知らないだけで
誰かの故郷かもしれなかった

その証拠に
遠くに数件ほど民家らしきものがあった

新人の男は
自分より頭脳の劣っている者を
シモジモノモノと呼んだ

そのときもどうでもよかったが
今となっては更にどうでもよかった

見知らぬ広野にいる

名前は誰かが
時間の波に沿ってつけてくれる

わたしは
立ちすくんでいる

無意識に涙を流しながら

両足を平行にして
両手を固く握りしめて

今となってはどうでもいいことだ

とりあえず
駅を探すことから
始めようと

数分後に思った
民家の明かりが灯ったようだった