ぼくの隣に
ふらりとやってきた
しは
ぼくをいともたやすく
のみこもうとする
まるでなにもなかったかのように

朝食のオレンジジュースを想像しても
あるいは
真夜中のビールを想像しても
コンセントの穴の小さな隙間から
ぼくをいともたやすく
のみこもうとする

週末は近所のパン屋へいこう
それから家で本を読もう
でも
それだけではきっといまは
いともたやすく引き込まれてしまう

もう少し遠くへ
もう少し遠くへ

だれの名前も知らない
夜の猫の声も届かない
場所へ

ぼくのしは
ぼくの一部であり
ぼくのすべてだ