しん、とした部屋 ちなみに ぼくの頬に雨がぶつかって落ちたとき 野良猫はとっくに逃げていました 唐突の雨にぼくは傘をささずに とある都会の坂道をのぼっていた それから 一軒の洒落たお店に入り 有名みたいな洒落た音楽が流れた店内で 正解みたいな黒板のメニューを頼んで 泡の強調されたビールを飲む そして 公園をすり抜けて 街灯を追いかけて とあるひとつの建物の いくつかあるうちの扉のひとつを開ける 台所を含んだ四角い部屋に しん、という音だけが居座っている