余白

夜。
カップ麺を啜りながら、コリアンダーを口に含む。枝ごと。
また麺を啜り、コリアンダーを含み、また含み。
それはもうジャングル。
雑食でありがながらの偏食。

飛行機。
いつ乗ったのが最後なのか。また乗ってもいいような気持ちになる不思議。
もういいかな。なんて思っていたくせに。
時間という忘却装置がわたしにも備わっていた。
失われることも、失うことも、物理的に感じる。
ただ、運動不足が気になる。

眼鏡。
これといって特徴がないから眼鏡をかけるときがある。
本当は目が悪いのに。
少し高価な眼鏡が欲しいと思う。
そこに意味は含まれない。現実的。
ああ、現実思考の妄想。

薬缶。
お湯がもうすぐ沸く。
沸騰してから、もうひとつ沸騰させる。
静かで機械的なキッチンにいると、安心する。
掌を見つめる余白が生まれる。

余白。
それを塗りつぶすと、息がつまる。
窒息。混乱。

あくびをしながら白湯を飲めば。