準備の途中

日常なるものがわたしというわたしたちのなかに蓄積され、息苦しくなると同時にわたしは腹ぺこになる。あまりにも単純に簡単に。
普段は唇は閉じ、舌は上顎に触れ、歯たちはちゅうぶらりんらしい。
口を解放し、たべものを放り込む。咀嚼、咀嚼、咀嚼。
わたしの脳内では神経細胞が快楽を生み、わたしはその快楽をわたしのなかでまた受け取り、わたしは恍惚としている。
酒類を分解できずに、横たわり。目を閉じれば海の音すら聞こえる。
ああ、正常でありたい。
今も、未来も、過ぎてしまった昨日でさえ。正常でありたい。
音のない夜の音を、聞き分ける準備をしている途中。