月別アーカイブ: 2017年1月

逃げ場

そらから
おおきな塊が
おちてきて
そのとき
ぼくの
両手は
ふさがっていて
その塊が
ただの幕みたいに
ふさがっていくのを
寸前まで
目でとらえていたけれど
次の瞬間を
おもう間もなく
ぼくは
塊につぶされていった
逃げ場はなかった
しかし
沈みこんでいく
地面
このまま出られない
なんてこともなくはなく
偽善として
笑った
生活するには
レベルが必要なのだと
ある男がいっていた
そして
取り繕うように
笑った
そらから
おおきな塊が
おちてきて
考えるまえに
動くまえに
笑った
重なった
本のすき間に
時間が止まっている
トモダチの契約を
だれとも結んでいないと
気付いたら
塊はまた
ぼくをつぶした
沈んだ下の
世界では
笑うことも
義務なのだ