逃げ場

そらから
おおきな塊が
おちてきて
そのとき
ぼくの
両手は
ふさがっていて
その塊が
ただの幕みたいに
ふさがっていくのを
寸前まで
目でとらえていたけれど
次の瞬間を
おもう間もなく
ぼくは
塊につぶされていった
逃げ場はなかった
しかし
沈みこんでいく
地面
このまま出られない
なんてこともなくはなく
偽善として
笑った
生活するには
レベルが必要なのだと
ある男がいっていた
そして
取り繕うように
笑った
そらから
おおきな塊が
おちてきて
考えるまえに
動くまえに
笑った
重なった
本のすき間に
時間が止まっている
トモダチの契約を
だれとも結んでいないと
気付いたら
塊はまた
ぼくをつぶした
沈んだ下の
世界では
笑うことも
義務なのだ