歯磨き ハンガーに ツイードのジャケットと ステンカラーコートと 分厚いカーディガンが 仲良くかかっていて ぼくは ああ、これで十分だ 満ち足りている と思った 大きなイチゴのケーキも 上質な脂の牛肉も 温度が常に一定に保たれている部屋も 特に必要なかった ただ きょうのような 印のない一日にも ぼくは 歯を磨いた なるべく念入りに たぶんそれは あしたに繋がる