ごろり

いつだって
午後に歩きたいと思う
本のなかを
テレビのなかを
家のなかを
街中を
そう思ってたいがい
横になるだけだったりする
夢のなかを
っていうやつか
生クリームが口のまわりについたまま
どうしてあんなに
夕日が沈んでいくのか
とふけっている
迷った蚊が
僕のまえを頼りなくふらつき
それを指先でつまんだ
なにを考えながら
ここに座っていたのか
思い出そうとしたが
それはなかなかどうして
無意味な問いかけで
午後は午前よりも
やはり儚いという
たいようのにおいが
部屋中に取り残されて
不気味なほどに
静かな
部屋と僕と僕の手
それから耳