現実の斜め上

僕が喫茶店で
夏休みのあれこれを
思い出している間に
新政府は旗揚げし
新聞社は多忙になった

記憶はいつでも曖昧だ
今国道を過ぎ去っていった
車の色だって
次の車が来れば
あっという間に忘れてしまう

忘れてしまうことは
特に問題ない
関係性の不明な
ご婦人グループが
基準の話で盛り上がるのも
正義の根本を考えるのも
勝手な話だ

新政府は
映画館で暗躍していたわけだし
新聞社も
映画館で多忙を極めていた
喫茶店の人種は
異文化のなかで
ざわめいている

現実が
やや斜め上にそれた
妄想との境目に
いる気がする