手を伸ばせば届きそうなのに
溢れんばかりの言葉があるのに
できたのは
ただそこにいることだけ
その当たり前のなかに
いることは
とてもむずかしかった
五寸釘で打たれたように
胃が痛む
なにもできなかったから
かなしいのか
ただ健やかであってほしい
きょうは
からだが泥のように重い
それでも僕は
眠りにつくまえに
おやすみをつぶやくだろう
虫の声にかき消されながら
強い日差しのなか
高く大きく浮かぶ入道雲を見上げた
あしたも入道雲が大きいのだろうか
と思いながら
かろうじて触れた肩は
少し小さく感じた