刻々と

刻々と
時計の針は進む

少年はデジタル時計をみて
時計じゃないと言った

デジタル時計は
時計を模したものなのか
いわば代用品

くしゃみをする
かすかに海のにおいがした

少年は
どうしたのと言う
風邪引いたのと言う

僕は
実際のところ
寝込んでいるのかもしれない

刻々と
時計の針は進む

少年も僕も
関係ないところで

あるいは
目には見えない
大きな渦のなかで

刻々と
失いながら
生まれながら