エンドロール

わたしが惹かれるのは
白く透明な手であり
艷やかな黒髪であり
存在感のある骨の
頑丈さとしなかやさだった
堪能な語学でも
知的な笑みでも
社交的かつ控えめな仕草でもなく
そしてなによりも
強く惹かれるのは
自然と高揚し安堵する
顔のすべてだった
しかし
無表情の出来事は
そのすべてを
一度海深くまで沈め
空に壁をつくる
たとえそこに
愛などという感情があったとしても
長年閉ざされた巨大な扉のように
錆びつき風化して
新しい扉が別の場所につくられるのだ
はじまりと終わりの
理由などあってないように
出演者がスクリーンに
上下するのだ