夜風

夜に吹く風は
あしたには届かない
てのひらですくって眺めて
流されて高く舞い上がる
たとえば駐車場で
夜の下に佇んでいても
夜に吹く風は
その理由を訊かない
一秒を求めない
迷子なのは
ぼくも同じだ
日がな一日
ただ目を開いていても
いいと思うけれど
夜でも昼でも
じぶんを出ていきたい
と思っている
その手で
重ねた手で
夜の風をすくった手で
ひとりぼっちなのは
ぼくも同じだ