雨が窓から
そしてぼくへと
届いて通過する
丸椅子に腰掛けて
雨やどりする
カフェのテーブルに置かれた
ろうそくの火は消さない
眺めるだけ
たんじょうびケーキの
ろうそくは何本もあって
一息に吹き消す
どうでもいいことが
夜の音に重なっていく
まるで雨みたいだ
空に向かって
開いた傘に
きょう一日のそれぞれが
弾かれていく
雨が歌をうたう
ぼくから
そして窓へと
届いて通過する
一日をいとも容易く
染め上げる
雨をにぎった手を
離さないように
静かな歌を口ずさんだ