神が通った

ぎしぎしと軋む床に落ちた
今日一日の憂いみたいなものを
まるめて壁に向かって投げつけた
それはどろりとしていて
ぼくの目ん玉を白濁させそうなほど
奇妙でもやもやとしていた
でもそれはぼくのなんというか
思い込み
いや、通りすがり
違うな、妄想
ま、なんでもいいのだけれど
とても目ん玉がからからと渇いてしまう
(目薬なんて気休めよ!)
あまりに奇妙なせいで
でもそれはぼくのなんというか
一部みたいな
いや、分身
うんと、ドッペルゲンガー
ま、よくわからないのだけれど
的ななにかが
ぼくから剥がれ落ちたのだ
たぶんきっと
今この瞬間に神が
ぼくの頭上を通っても気づかないだろう
神はとてもスピーディーなわけだし
とにかくぼくの細胞は
ふつふつと音をたてて
出たり入ったりしている
ここはただの部屋だ
夕日に染まってきらきらとして
一秒前をすっかり忘れた